直すか、乗り換えるか

車種別の修理費と、手放すときの判断材料

最終更新: 2026-07-28

N-BOXの異音、本当にCVTですか|30万円払う前の切り分け方

走行中に「ゴトゴト」「ゴロゴロ」という音が出はじめると、N-BOX(JF1/JF2)のオーナーが最初に疑うのはCVTです。実際、初代N-BOXにはCVT関連の不具合報告があり、その疑いは的外れではありません。

ただし、CVT交換は20〜35万円です。 一方、同じような音が出るハブベアリングの交換は数万円です。

この記事の目的は、CVTだと決めつける前に、他の可能性を潰すことです。 誤診したまま話が進むと、桁が1つ違う出費になります。

先に断っておくと、音だけで原因を断定することはできません。この記事でできるのは、整備工場に持ち込む前に「どこが怪しいか」の見当をつけ、診断を依頼するときに正しい情報を伝えられるようにすることまでです。


最も確実な切り分け: ニュートラル惰行テスト

道具も費用も要らず、最初にやるべきテストです。

やり方

音が出ている速度で走行中、シフトをニュートラル(N)に入れて惰性で走ります。エンジンの駆動が切れた状態で、音がどう変わるかを聞きます。

判定

結果疑われる箇所
音が変わらない・そのまま続くタイヤ・ハブ系(ハブベアリング等)。CVTではない可能性が高い
音が消える・変わるエンジン・駆動系(CVT側)

理屈は単純です。ニュートラルでは駆動系が切り離されるため、音が続くならタイヤ側から出ていることになります。

安全上の注意


音の種類で見分ける

CVT側が疑われる音

疑われる状態
キュルキュル金属ベルトの劣化による滑り
バリバリ・ゴトゴトDレンジでアクセルを踏み込んだ時に振動を伴うなら金属ベルトの可能性。「ゴトゴト」はベルト破断の手前のおそれ
ゴロゴロ・ガラガラベアリングの軌道面剥離。ホンダの保証期間延長の対象症状と一致(後述)
カラカラ車速・エンジン回転に沿って音の速さが変わるなら回転部分、変わらないなら非回転部分の部品のガタつき

「ゴトゴト」で振動を伴う場合は、先送りしないでください。 ベルト破断の手前という指摘があり、破断すれば走行不能になります。

ハブベアリングが疑われる音

特徴
ゴロゴロベアリング内部の摩耗・損傷による振動
ウォンウォン低く唸る音。一定速度で走行中に連続して聞こえる
ゴーッ高速走行時や荷重がかかった状態で目立つ

CVTとハブベアリングは、どちらも「ゴロゴロ」と表現されます。 音の擬音だけでは判別できないため、次のテストを併用してください。


カーブテスト: 左右どちらのハブか

ハブベアリングを疑う場合の追加テストです。

カーブを曲がる際に音が強くなったり消えたりする場合、片側のハブベアリングの可能性が高いとされています。

理屈は荷重移動です。

CVTは車体の傾きで音が変わりません。 カーブで明確に変化するなら、CVTの可能性は下がります。


停車時にできる確認

ジャッキアップできる環境がある場合の確認方法です。安全が確保できない場合は、整備工場に任せてください。

  1. 安全な平坦地に停め、エンジンを停止して輪止めをする
  2. ジャッキアップし、リジッドラック(ウマ)をかける ← ジャッキだけで下に入らないこと
  3. タイヤの上下・左右を手でゆっくり押し引きしてガタつきを確認する
  4. タイヤを手で回し、ゴロゴロという異音や引っかかる抵抗がないか確認する

ガタつきや回転時の異音・抵抗があれば、ハブベアリングの損傷・摩耗の兆候です。


その他に疑うべき箇所

症状疑われる箇所補足
ブレーキを踏んだ時に音が出るブレーキ系ハブベアリングとは別要因
音はないが地面に赤茶色のシミデフサイドオイルシールCVTフルードの漏れ。CVT本体の故障ではなく、シール交換で済む
走行中の息継ぎ、加速不良、エンスト低圧燃料ポンプリコール対象なら無償。異音というより症状で判断
発進時に車体が小刻みに震えるCVTフルードの劣化、またはCVT本体初期段階ならフルード交換で改善する場合も
ロードノイズタイヤ摩耗・偏摩耗でも似た音が出る

デフサイドオイルシールは特に重要です。 「CVTから油が漏れている」と聞くとCVT本体の故障を想像しますが、これはドライブシャフト付け根のシール劣化なので、費用の桁が違います。異音を伴わない油漏れなら、まずここを確認してもらってください。


「ゴロゴロ・ガラガラ」なら、先に車台番号を照会する

CVT側だと切り分けられた場合、整備工場に見積もりを頼む前にやるべきことがあります。

ホンダは2019年2月1日付で、旧型N-BOXを含む14車種についてCVTドリブンプーリーベアリングの保証期間を延長しています。不具合の内容は「CVT内部の加工片がベアリングに噛み込み、軌道面が剥離して異音が発生する」というもの。まさにゴロゴロ音の症状です。

さらに、2020年2月27日付で正式なリコール(届出4677)も出ています。こちらはトルコンのダンパースプリング折損によるもので、異音に加えて最悪の場合は発進時にエンストし走行できなくなるおそれがあります。

リコールに期限はありません。 何年経過していても無償です。

照会方法

ホンダの無償修理状況検索(recallsearchp.honda.co.jp)に車台番号を入力すれば1分で分かります。電話ならHondaお客様相談センター 0120-112010

注意点: 民間の整備工場は他社メーカーの保証延長情報を把握していないことがあります。工場で「CVT交換30万円」と言われても、まず一度はホンダ販売店で診断を受けてください。


診断を依頼するときに伝えること

自己判断には限界があります。同じ異音はタイヤの不具合やドライブシャフトからも発生するため、音だけで断定するのは整備士でも難しいとされています。ベアリングはCVT内部にもホイール側にもあるため、どちらからの音か判別しにくいのが実情です。

最終的には診断に出すことになりますが、以下を整理して伝えると診断が早く、正確になります。


放置するとどうなるか

「音がするだけで走れているから」と先送りしないでください。

いずれも、壊れきってから直すほうが高くつきます。CVTの場合、フルード交換(1〜2万円)で済む段階を過ぎると、本体交換(20〜35万円)しか選択肢がなくなります。


次に読むべき記事


この記事について

出典