直すか、乗り換えるか

車種別の修理費と、手放すときの判断材料

最終更新: 2026-07-28

タント(L375S/L385S)の持病・弱点まとめ|修理費が高い順に9箇所

2代目タント(L375S/L385S、2007〜2013年)は、2026年時点で車齢13〜19年に入っています。

この年式帯で出る不具合は、ほぼ決まった箇所に集中します。この記事では、公開されている修理実例・整備工場の作業記録・メーカーの市場措置情報を横断し、修理費が高い順に整理しました。

先に断っておきます。 タントは軽自動車として大ヒットしたモデルで、走っている台数が多いぶん故障の報告件数も多く見えます。この記事は「タントは壊れやすい」と言うためのものではなく、自分の個体で次に何が来るかを予測するためのものです。


その前に: 車台番号を1回照会してください

持病の話に入る前に、最優先でやることがあります。

L375S/L385Sには、メーカーが無償で直す措置(リコール・保証期間延長)が複数出ています。

照会方法

ダイハツ公式サイトのリコール・改善対策情報ページ(daihatsu.co.jp/info/recall/)で、車台番号(車検証記載。L375S-0xxxxxx の形式)を入力すれば、対象かどうかを検索できます。

中古で購入した場合は、前オーナーが対策を実施済みかどうかが分かりません。 対象であれば、購入方法にかかわらずディーラーで無料の対策を受けられます。

L375S/L385Sに関わる主な措置

内容種別補足
燃料装置(パルセーションダンパ)のダイヤフラム傷リコール傷から亀裂が生じ、燃料が漏れるおそれ。複数回にわたり届出され、計10万台規模
バックドアステーのエンドキャップ腐食リコール腐食により破損するおそれ
エンジンマウントの早期劣化保証期間延長リコールではなく保証期間の変更として扱われています
CVT関連(複数の届出あり)リコール下記の注意を参照してください

リコールに期限はありません。 何年経過していても無償です。

CVTリコールについての注意

ネット上には「タントのCVTにはリコールが出ている」という記述が見られますが、そのまま自分の車に当てはめないでください。

よく引用される**CVTトルクコンバータ内部ベアリングのリコール(2017年3月30日届出)**は、対象がタントを含む13車種にわたるものの、製造期間が2013年10月9日〜2014年2月26日の計49,869台に限定されています。L375S型タントは2013年に後継のLA600Sへ切り替わっているため、L375S本体はこの製造期間から外れている可能性が高いと考えられます。

一方、2013年12月4日届出のCVT車向けリコール(ソニカ、ムーヴ、ミラ、タント、ムーヴ コンテ、ミラ ココア、タント エグゼが対象)など、別のCVT関連リコールも存在します

つまり、「CVTリコールがある/ない」を年式や車種名だけで判断することはできません。 公表されている車台番号の範囲には対象とならない車両も含まれるため、車台番号での照会が唯一の確実な方法です。

なお、2019年4月のダイハツの大規模リコール(約191万台)は、当時の現行型LA600Sが対象で、L375Sは対象外です。 混同されやすいので補足しておきます。


持病・弱点9箇所(修理費が高い順)

#箇所主な症状費用の目安
1CVT本体滑り、加速不良、異音、変速ショック20〜40万円(載せ替え)
2エアコン系(高圧パイプ詰まり〜コンプレッサー)冷えない、カチカチ音4.7万〜10万円超
3パワースライドドア暴れながら閉まる → 閉まらないモーター一式 約68,000円(+ローラー等)
4KFエンジンのオイル上がりオイル消費、白煙症状により大きく変動
5電動ファンモーターオーバーヒート、アイドリング時のエアコン不調比較的安価だが工賃がかさむ
6ウォーターポンプ異音中程度
7イグニッションコイル/プラグ加速不良、振動、チェックランプ社外品なら部品代1万円前後
8EGRバルブの詰まりチェックランプ(P0400)中程度
9BCM・ヒューズブロック電装系の不具合最悪の場合、高額

以下、金額が大きいものから見ていきます。


1. CVT本体 — 20〜40万円

L375Sで最も金額が大きい箇所です。

症状: エンジンだけ高回転になって車速がついてこない「滑り」の感覚。発進時・変速時のショック。CVT内部からの異音。

実例: 平成22年式・走行約86,000kmでCVT内部異音が発生した事例があります。また、15万km近くフルード無交換の個体ではストレーナーもかなり汚れており、滑りの症状が出ています。

費用: 軽度でフルード劣化が原因なら、CVTフルード交換で改善することがあります。重度で内部が損傷している場合、CVTは部品単体で供給されないためミッションごとの載せ替えになり、エンジンごと降ろす大掛かりな作業になります。リビルト・中古ミッション代+工賃で20〜40万円前後を見ておく必要があります。

先に確認すべきこと: ダイハツにはCVT関連のリコールが複数届出されています。ただし前述のとおり、対象は特定の製造期間に限定されます。よく引用されるトルクコンバータ内部ベアリングのリコール(2017年3月届出)は製造期間が2013年10月〜2014年2月で、L375Sは外れている可能性が高い一方、2013年12月届出の別のCVT関連リコールもあります。異音がある場合は、必ず車台番号で照会してください。ネットの情報で「対象だ」「対象外だ」と判断しないでください。

保証について: 新車保証期間(通常5年または10万km)内であればCVT関連修理が無償対応となるケースもありますが、定期点検を怠っていたり、CVTフルードを不適切に交換していた場合は保証対象外となる可能性があります。2026年時点でL375Sは新車保証期間を超えていますが、中古車の場合は販売店独自の保証内容を確認してください。

→ 詳細(フルード交換で直る段階と、手遅れの段階): タント(L375S)のCVTが滑る・異音がする|フルード交換で直る段階と、手遅れの段階


2. エアコン系 — 4.7万〜10万円超

ダイハツのこの世代で最も報告が多い故障です。

症状: 冷えない。コンプレッサーが「カチカチ」と1秒サイクル程度で断続する。

原因の構造: 高圧パイプ内蔵のフィルターが詰まります。詰まりの元は、コンデンサー内部の乾燥剤の粉化と、エアコンライン内の金属カス・汚れです。

重要なのは、パイプだけ交換しても再発するという点です。原因であるコンデンサーを残すと、また同じ乾燥剤が詰まらせます。

費用実例: エキスパンションバルブ交換(Oリング交換・真空引き・ガスチャージ込み)で47,135円(作業時間4時間、走行195,317km)。コンプレッサーまで巻き込むと10万円超になることもあります。

別の可能性: 「走行中は効くが、アイドリングで効かない」場合は、エアコン系ではなく電動ファンモーター(後述)の不良が疑われます。

→ 詳細: タント(L375S)のエアコンが冷えない|4.7万円で済ませると再発する理由


3. パワースライドドア — モーター一式 約68,000円

L375系で非常に多いトラブルです。

症状の進行: 最初はガタガタと暴れながら閉まる → 次第に完全に閉まらなくなる手動で閉めてもロックがかからない

この状態は、走行中にドアが開く危険があります。 放置しないでください。

費用:

内容費用の目安
点検・診断5,000円〜1万円程度
ローラー交換1万〜3万円程度
ドアレールカバー交換部品・工賃込みで約3万円
メインモーター/ワイヤー一式ディーラー新品 約68,000円(部品代だけで5〜7万円)

L375S/L385Sではワイヤー単体の供給がなく、モーターから一式交換になるため、この金額になります。

厄介な点: タントはボディ剛性の弱さからボディが歪み、スライドドアの閉まりが悪くなるケースが多いと指摘されています。原因がはっきりしないことも多く、完全に直せる場合もあれば直せない場合もあり、修理費が無駄になることもあります

ボディの歪みが原因の場合、修理しても「事故車」扱いは変わらず、査定額アップも望めません。 この場合は乗り換えの検討も選択肢になります。

→ 詳細: タント(L375S)のスライドドアが閉まらない|直る故障と、直らない故障


4. KFエンジンのオイル上がり

初期生産分のKFエンジン搭載車(L375Sタントを含む)で、オイル上がりの多発が指摘されています。

症状: エンジンオイルの消費が異常に早い。排気に白煙が混じる。

オイル上がりはピストンリングやシリンダー壁の摩耗によりオイルが燃焼室に入る現象で、根本修理はエンジンのオーバーホールまたは載せ替えになります。費用は症状の程度で大きく変わります。

日常的な対策: オイル量を定期的に確認してください。 減っていることに気づかず走行すると、より重大な損傷につながります。


5. 電動ファンモーター — オーバーヒートの原因

L375Sでは「持病のようなもの」とされるほど多い故障です。

症状:

「回っているから正常」とは限りません。 風量が落ちているだけでもオーバーヒートの原因になります。

費用: 修理自体はそれほど高額ではないものの、室内を広く取るためエンジンルームが狭く、手間が非常にかかる車種とされています。工賃がかさむ点に注意してください。社外新品の電動ファン・モーターASSY(シュラウド+ファン+モーターのセット)に交換し、冷却水補充とエア抜きを行う流れが一般的です。

オーバーヒートは、放置するとエンジン本体の損傷につながります。 水温計の異常は最優先で対応してください。


6. ウォーターポンプ — 異音

電動ファンモーターと並んで、L375Sで非常に多いとされる箇所です。

異音が出たら点検を受けてください。冷却系のトラブルは、放置するとエンジン本体に波及します。


7. イグニッションコイル/プラグ — 社外品なら部品代1万円前後

症状: アイドリングが不安定、エンジンが振れる、加速しない、エンジンチェックランプが点灯。

実例: 走行98,000kmの個体で、アイドリング不安定・走らない・エンジンが振れるという症状に対し、プラグ交換履歴がなかったためプラグとイグニッションコイルを3気筒全数交換し、復調しています。

別の事例では、パワーバランステスト(コイルのコネクタを順に抜いて変化を見る)で3番のみ変化がなく、2番と3番のコイルを入れ替えて再テストすることで3番の不良を特定しています。

費用: 部品代は純正か社外かで大きく変わります。

部品3本分の価格
メーカー純正新品35,310円(税込)
社外新品9,405円(税込)
差額25,905円

社外新品は純正とほぼ同形状・同性能に作られ、保証が付くものもあります。ただしネット通販には極端に安い低品質な海外製品もあるため、工場と相談して選んでください。 工賃は別途かかります。

1本だけ不良でも、残り2本は同じ部品・同じ働きです。 予防整備として全数交換を推奨する整備士の判断は合理的です。


8. EGRバルブの詰まり — 故障コードP0400

症状: エンジンチェックランプが点灯。OBD2で確認するとP0400(EGR系)が出る。

注意すべき誤診事例: チェックランプ点灯で量販店に持ち込み、O2センサーの交換と判断されて上下とも新品交換したものの直らず、実際の原因はEGRだったという事例が報告されています。

チェックランプが点いたら、まず故障コードを読んでもらってください。 コードを確認せずに部品を交換すると、無駄な出費になります。

→ 詳細(新品に替えても再点灯する場合があります): タント(L375S)のエンジンチェックランプ P0400|部品を替えても直らないことがあります


9. BCM・ヒューズブロック — 最悪の場合、高額

引き金になりやすいのが、安価なLEDバルブへの交換です。

ある事例では、バックランプのLED化により電気が回ってショートし、BCMと付随するヒューズブロックまで故障しています。

多くの場合はノーマル球に戻せば改善しますが、最悪の場合は高額修理になります。 電球のLED化を検討する場合は、車両側の適合を確認してください。


中古でL375S/L385Sを買うときのチェックリスト

  1. 車台番号でリコール・改善対策の実施状況を照会してもらう(ダイハツ公式サイトで検索可能)
  2. 両側スライドドアを数回開閉(ガタつき、閉まりきるか、ロックがかかるか)
  3. エアコンを最低温度で回す。アイドリング状態でも冷えるか確認(電動ファンの切り分け)
  4. 水温計を確認(試乗中に上がらないか)
  5. アイドリングの安定性(振動、チェックランプ)
  6. 試乗でCVTの滑り・異音を確認(加速時にエンジンだけ回っていないか)
  7. 整備記録簿でCVTフルードの交換履歴を見る
  8. エンジンオイルの量と汚れ(オイル上がりの確認)

中古相場の目安: L375S系はコミコミ20万円程度から探せますが、そうした激安車は修復歴ありや10万km超の過走行であることが多く、距離を走っていない個体は**60万円〜**が相場とされています。

「安い理由が説明できない車両」は避けてください。


今の車をどうするか迷っている場合

L375S/L385Sは車齢13〜19年です。CVT(20〜40万円)、エアコン(4.7万〜10万円超)、スライドドア(約68,000円)が同時期に来る年式帯に入っています。

1箇所直しても、次が数年以内に来る可能性が高い。 そのため、「今回の修理費」ではなく「今後2〜3年でいくらか」で判断するのが現実的です。

判断に必要な数字は3つです。

  1. 修理見積(内訳を部品代と工賃に分けてもらう)
  2. 現車の査定額(修理する前に取る。修理費は査定額にそのまま上乗せされません)
  3. 乗り換えた場合の実額

特に2番目の順序が重要です。先に修理してから売ると、払った修理費はほぼ戻りません。


この記事の集計方法について

出典